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4.資金采配一考

 恐らく、「商人の命は、信用と資金だ」と言い切っても、反論される事は、先ず無いと思います。
この他に、経営戦略、商品開発力、諸々と付け加えていく事項は、多い筈ですが、現在、投資活動を行っている方々に、「もし、投資を商業
活動と考えた場合、資金の采配を最重要視しているでしょうか?」と尋ねた場合、この問いに対する回答は、各人まちまちでありましょう。

様々な、投資関連の本を読んでみましたが、『資金管理の重要さ』を強調する箇所は、多くの本で見掛けるのですが、具体例を示しての
説明は、殆ど見受けられません。
中には、「一回の損失は2%」、「片張り1/2」、「使用証拠金は、資金量の20%」などと、具体的数値を記載している場合もあるのですが、
霧に包まれた部分が多い分野です。
私なりに、理由を考えてみましたが、各人の事情がそれぞれ違うだろうから、一概に示す事が出来ない。
この様な理由は考えられますが、この分野は最初に考えなければならない重要な所だと思うので、私が学んだ事を御紹介します。

私は、投資資金も事業資金も、違いは名称だけで、同じものと考えて居ます。
事業資金が尽きれば倒産し、投資資金が尽きれば取引は不可能と成り、程度の差はありますが、どちらも意味合いは同じ事です。
この事を前提に、話を進めたいと思います。

私の場合、事情は特殊かも知れませんが、最初の師匠との間に誓詞を交わしています。
その中に、『損失が35%に達した場合は、理由の如何に関わらず、相場から身を引く』と言う一文を誓約しています。
この一文は、他でもない、私の人生を守る為の砦なのです。
詳しい話は、他の機会に譲るとして、35%の損失で、引退なのですが、30%に達した時、最後の勝負をジックリ考える為、35%にされて
います。
ですから、実際は30%が最後の一線に成り、この制限値を如何に使うかが、私の戦略を決定する最重要点に
成っています。
30%を一気に使い切ってしまうのか、数度に分けて、討ち死にを防ぎながら機会を伺うのか、ここで、私の力量が試されていと言っても
良いでしょう。
所が、これを実行しようとすれば、ここに大きな問題点が発生します。
『30%以内の損失に留める』と、先に決めてしまった場合、投資資金の金額によって、参加できる市場や銘柄、売買できる数量が限定され
てしまうと言う事が起きてきます。
察しの良い方なら、お判りだと思いますが、リスクを限定しようとすれば、する程、裁量の余地は減り、同時に、自身の性格や生活に、
合わせながら、戦略を取り辛く成る弊害を起こしてしまうのです。
『この兼ね合いを、どの様に克服するか?』この部分の対策が、所謂『秘密・秘伝』の部分に相当します。
聞いてしまえば、大した話では有りませんが、自身だけで体得しようとすれば、相当な困難と向き合う覚悟を、決めなければ成らず、
苦労があっても実る確率は減少します。

さて、話を戻して、具体例を上げながら、順を追って説明しましょう。
解り易く、100万円の投資資金で運用を考えたと仮定してください。
100万円で、30%の損失(30万円の損)を抱えてしまった場合、残金は、70万円と成ります。
ここまでは、小学生にも理解出来る事です。
この時、70万円を100万円に回復させるには、30万円稼がなければなりません。
70万円を運用して、30万円稼ぐには、(30÷70)×100=42.85(%)の利益率を出して、やっと、回復出来るのです。
一言で43%儲ければ良いと言うのは、容易いのですが、実際には相当な時間と労力を要して行かないと、回復の実現は不可能です。
運良く、短期間で取り戻せたとしても、次も上手く行く保証は、ありません。
市場から、退場する人は、常に『2匹目のドジョウ』を考えて、行動するから、討ち死にします。
少なくとも、私には、その様な神業は出来ませんので、傷を広げない為にも引退します。
誓詞は、35%ですが、自己規制で30%損失を引退に定めています。
私の考えでは、30%の損失でも、諸事情を考慮すると大き過ぎると感じて居ます。
 例えば、投資信託やヘッジファンドでは、25%の損失で、解散を謳って居る所が多く投資も事業の一つと考えるならば、損失は、25%以内
に設定しておく方が、無難かもしれません。
引退は30%に定めていますが、実際の損失限度は20%を一応の目安にしています。
この20%以内で、株式の現物を扱うならば、小分けせず、20%一括にして、買う数量でリスクを調節し、期限がある商品先物などは、20%を
10回分に分けて、2%の損失で損切りと定めています。
ただし、株式現物の場合は、損が出ても精神的には、損切りし難いものです。
為替の場合は1%の損失損切り、20回と決めています。
後は、この損失許容量を考慮しながら、売買数量を決めて行きます。
概要は、この様な事ですが、一番の要点は、資金量の大きさを加味する事にあると思います。

例えば、100万円、1000万円、1億円の資金を持つ人が居るとして、資金100万円の人に、20%ル−ルを当てはめた場合、自由度は殆ど
無くなり、返って機能不全を起こし兼ねませんし、1億円の人ならば、2000万円の損失を考える事と成り、金額的な幅を取り過ぎている様に
感じます。
単に、数値で割り切ろうとすれば、精神的な負担を加味していませんので、気をつけ無ければ成らない工夫課題だと思います。
更に、この考え方は、余裕資金で長期戦を構える方とチャ−トを見ながら、デイトレ−ドを考える短期決戦の方には、システム上の枠が
適応していませんので向きません。
長期投資の場合は、目先の損失無視と時間のリスクを負うのですから、運用益が大きく成る工夫を第一にしなければ、成りませんし、
デイトレ−ドは、時間のリスクを無くす為に勝率を高め、負け幅を押さえなければ、敗者と成ります。
つまり、諸々の要因を戦略に反映させないと、見えないリスクの矛盾点が生じてしまい機能不全を起こす可能性が、出てしまうと言う事を
予め考慮する必要があります。
これ等を、積み上げて行くと、取るべき行動や戦略は、自ずと定まって行きます。

最初に、話を戻しますと、『商人の命は、事業資金』と言い切った場合、投資にしろ、他業種にしろ、『自由裁量』や『取れるリスク』は、当然
限定されてきます。
もし、『自由裁量』や『儲けを優先』するならば、リスクが負い被さって来た時、丸抱えと成ってしまうので、前以て相応のリスク対策を手当て
しておくのは、当然の事です。
結果が、どの様に成ろうとも、考えて行動を取るのは、全て当人次第ですから、他人の責任には、一切出来ませんし、他人が責任を肩代わり
してくれる筈もありません。
私は、『目先の儲けを狙う』より『生き残り、チャンスを掴む』事の方を優先していますので、商人の心得である『商人の命は、事業資金』を
堅く守り、資金の采配方法に合う、銘柄や市場を選びながら、相場に参加しています。

2004年6月19日 大太法師 記
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